タイの中部地方にある警察署で、200匹以上のサルが脱走するという珍事件が発生した。警察署内に設けられた飼育施設から脱走したサルたちは、警察署周辺に広がる街中を自由に動き回り、警官たちは混乱の中、警察署内に立てこもる事態となった。
この事件は、サルの保護活動の一環として飼育されていた警察署の施設で起きた。地元メディアによると、この施設は野生動物保護プロジェクトの一環で設置されたもので、地域住民から救助されたり保護されたりしたサルを一時的に収容する目的で運営されていた。しかし、何らかの理由で施設の施錠が解除され、大量のサルが一斉に外に飛び出したとみられている。
脱走したサルたちは警察署の敷地内だけでなく、近隣の市場や住宅街にまで進出し、市民生活に混乱をもたらした。住民たちは驚きと恐怖の声を上げ、一部ではサルに食べ物を奪われる被害も報告された。また、サルたちが車道に飛び出すなど交通にも影響を与え、一時的に周辺の道路が渋滞する事態となった。
警察署内では、サルたちが建物内に入り込むのを恐れ、警官たちがドアや窓を閉め切り、外部との接触を避ける様子が見られた。地元紙のインタビューに応じた署員は「とても危険な状況だ。サルたちは驚くほど機敏で、何かしらの方法で建物内に侵入しようとしている」と語った。
一方で、専門家や動物保護団体が事態の収拾に向けて動き出した。サルたちを安全に捕獲し、再び収容施設に戻すための計画が立てられたが、非常に多くのサルが関与しているため、完全な収束には時間がかかる見通しだという。捕獲作業には地元住民も協力しており、果物や餌を使ってサルたちをおびき寄せる作戦が進められている。
SNS上では「サル大脱走」として話題
この事件はタイ国内外で大きな注目を集め、SNS上では「サル大脱走」として話題になった。多くのネットユーザーが脱走するサルたちの姿を動画や写真でシェアし、ユーモラスなコメントが相次いだ。「サルたちが署を占拠した」「新たな警察署長が誕生したのではないか」といったジョークが飛び交う中で、一部では動物の管理体制の見直しを求める真剣な議論も展開されている。
今回の騒動を受け、警察署は管理体制を再点検し、同様の事件が再び発生しないよう措置を講じると表明した。また、飼育施設の改修や脱走防止策の導入に向けた議論が進められる見込みである。
サルたちの脱走が市民生活に混乱をもたらした一方で、街中を駆け回るサルの姿は多くの人々に笑いと驚きを提供した。人と動物の共存について改めて考えるきっかけを与えたこの事件は、タイにおける保護活動と市民生活の調和を模索する新たな課題として注目されている。