メキシコの税関当局はこのほど、スイカに偽装した覚醒剤約7億円相当を押収したと発表した。この覚醒剤は、巧妙に偽装されたスイカの形状で密輸されようとしていたもので、同国の港湾で発見された。今回の押収は、メキシコ国内外で注目を集めるとともに、麻薬密輸の新たな手口として大きな話題となっている。
押収された覚醒剤は合計1220個の偽装スイカに詰め込まれていた。それぞれのスイカ型パッケージは緑色のラッピングで覆われ、まるで本物のスイカのように見える仕上がりだったという。税関職員が異変に気付いたのは、スイカの外見が不自然に均一だったことがきっかけだった。さらに検査を進めると、重量や触感が通常のスイカとは異なることが判明した。
密輸を試みた犯行グループは、これらの偽装スイカを食品として通関しようとしたが、税関のX線検査で発覚した。押収された覚醒剤の総重量はおよそ1.5トンに達し、その末端価格は約7億円相当と見積もられている。密輸ルートや最終目的地については現在も捜査が進められているが、初期の報告によれば、北米市場への供給を目的とした可能性が高いとされている。
メキシコ当局は、今回の事件を受けて、麻薬密輸組織がますます巧妙な手段を用いるようになっていることに警戒感を強めている。特に食料品や日用品を偽装の手段として利用するケースが増えており、当局者は「通常とは異なる貨物に対して、より厳格な検査が必要だ」と述べた。
過去にはアボカドやパイナップル
麻薬密輸におけるこうした創意工夫はこれまでにも見られており、過去にはアボカドやパイナップル、さらには洗剤ボトルなどを利用した事例が報告されている。専門家によれば、密輸組織は常に新しい手段を模索しており、摘発を逃れるためにあらゆる可能性を試みているという。
今回の押収は、メキシコ政府と国際的な法執行機関の連携による成果であり、国境を越えた犯罪撲滅に向けた努力の一環である。当局は、麻薬密輸に対するさらなる取り締まり強化と、検査体制の高度化を進める考えを示している。
スイカ型の覚醒剤という奇抜な発想が話題となった一方で、こうした密輸行為がもたらす社会的影響も深刻である。今回の事件をきっかけに、国際社会全体で麻薬密輸に対する対策を一層強化する必要性が改めて浮き彫りになったといえる。