ベルギー食品安全庁(FASFC)はこのほど、クリスマスツリーを食べる行為が健康に害を及ぼす可能性があるとして国民に注意喚起を行った。クリスマスシーズンには、飾り付けやイベントの一環としてツリーを使用する家庭や公共施設が増えるが、これを食品として消費する動きが見られることからの対応だという。
近年、サステナビリティやフードロスの観点から「食べられるツリー」や「廃棄せず利用する」という考え方が注目され、インターネット上ではクリスマスツリーの一部である松葉や幹を活用したレシピが話題になっていた。特に一部のインフルエンサーや料理家が、松葉をスパイスやハーブのように使うアイデアを紹介しており、多くのフォロワーがこれに倣う動きが見られた。
しかし、食品安全庁はこれに対し、「クリスマスツリーとして流通する木材の多くは装飾用に加工されており、農薬や防腐剤、着色料が含まれる可能性がある」と警告を発した。これらの化学物質が人体に与える影響は計り知れず、特に小児や高齢者、免疫力の低下した人々には深刻なリスクをもたらす恐れがあるという。
また、野生の木を利用する場合であっても注意が必要だ。同庁のスポークスパーソンは「山林や庭に生えている木が食べられると安易に考えてはならない。特定の種類の植物は有毒成分を含んでおり、適切な知識なしに摂取するのは危険だ」と述べている。
フードロスの視点は重要だが…
さらに食品安全庁は、もしも「食べられる」として販売されているクリスマスツリー製品が市場に出回った場合、必ずパッケージ表示を確認し、使用されている成分や安全性を確認するよう促している。「クリスマスの楽しい時間が健康被害で台無しになるのは避けたい」と担当者はコメントしている。
クリスマスツリーを食材として利用することに関心が高まる一方で、安全性の確保や信頼できる情報源からの指導が重要である。FASFCの警告は、伝統的なイベントや新しい取り組みが持つ潜在的なリスクについて、消費者が意識を高める必要性を示唆している。
今回の警告を受けて、ベルギー国内の食品関連団体や環境保護団体からも支持の声が上がっている一方で、一部では「クリスマスツリー活用文化を推進する動きに水を差すのでは」との懸念もある。しかしながら、健康リスクを無視してまで新しいトレンドを追求することは許されない。FASFCは今後も同様の啓発活動を通じて、国民の健康と安全を守る方針だ。
この冬、クリスマスツリーを眺めながらホットチョコレートを楽しむ伝統的な過ごし方が、改めて見直されることになるかもしれない。